検定試験の総括と全体講評

第4回 Advancedコース治験実務英語検定の総括と講評

全体総評

Advanced コースはリスニング、読解、英訳の3技能を対象にした検定試験です。Basicコースに比べ難しい試験ですが合格する方も毎年出ており、取り組み方次第で合格に近づくことができます。合格された方々の傾向を見てみますと、リスニング、読解、英訳のそれぞれで一定以上の点数を獲得されていました。検定に合格するには、バランスよく3技能を習得しておく必要があります。
また、課題数が多いため、答案作成時には時間配分に注意し、すべての課題に解答できるよう、スピーディに進めていく必要があります。長文英訳では試験時間内に一部の課題しか解答に着手できていない方が多くいらっしゃり、得点率が他の課題と比べて著しく低くなってしまったことから、結果として今回の合否を分けるポイントとなりました。時間内に多くの課題に取り組むためには、業務で頻出する表現は辞書や参考書を見ずに英文を書けるようにしておく必要があります。
採点時には、日本語の出題内容をよく理解し、それを英文で過不足なくきちんと伝えられているかの判断に重点を置いています。なお、表現の自然さを考えた上での意訳などは減点対象にしていません。
リスニングでは優秀な成績を修めた方が多くいらっしゃいましたが、英文和訳および英訳課題では点数が伸び悩んだ方が散見されました。今回は特に短文英訳の点数で伸び悩みが多く見受けられました。すべての技能(リスニング、読解、英訳)をしっかりと習得できていないと合格するのは難しいでしょう。
今回の英訳課題では、頻出表現や動詞のニュアンスの理解、正しい前置詞の選択、時制の意識等の基本的な事項において誤りが散見されました。ひとつひとつは小さな誤りでも、積み重なると読み手が情報を読み取れない可能性があります。また、文を読むリズムが悪くなり、読みにくい文章となります。
語学習得は日々の積み重ねが重要になります。英文を発想する力を養い、また、学習したことを業務などで繰り返し使用することで身につけることができます。業務であまり使うことがない方々は、英訳を添削してくれる講座や英語を話す講座を受講する、同僚や友人と英語でコミュニケーションを取る場を設けるなど、英語に触れる機会を少しでも多くつくるようにしましょう。

リスニング(出題数:15、得点率:85.0%)

リスニングは被験者の既往歴やスケジュール調整、2者間の会話などの聞き取りを出題しました。状況をきちんと聞き取り、適切に解答できている方が多くいらっしゃいました。
ただし、聞き取る内容が複雑な課題の正答率は低くなっていました。ある程度長さのある音声で複雑な内容の説明に慣れておく必要があります。

出題テーマ例:

  • ・ヒアリングの日程調整
  • ・原資料の作成手順
  • ・SDV実施連絡票

読解(出題数:2、得点率:83.5%)

読解では、英文を和訳する課題と選択肢から正解を選ぶ課題の2パターンを出題しました。
英文を和訳する課題では訳が抜けていたり、文法理解が不十分なために係り受けを誤ったりしていると思われる点がありました。英文で書かれた情報を抜け漏れなく日本語で表現できるようにしましょう。
選択肢から正解を選ぶ課題では、英語の長文を限られた時間内で読み取り、設問に答える必要があります。日頃から英文に慣れ、読解の速度を上げるなどして、長文課題への対応力を高めておきましょう。

出題例:

  • ・SAE報告に関する記載(300ワード程度)を英文和訳

短文英訳(出題数:15、得点率:64.0%)

1文もしくは2文程度の日本語を英訳する課題を出題しました。限られた時間内できちんと英訳できるかを問う課題でした。
若干の誤りはありましたが、日本語で書かれた状況を読み手に誤解を与えない範囲で英文を書けている方がある程度いらっしゃいました。ただし、情報が抜けていたり、誤った動詞で書いていたりする方もいらっしゃいました。業務で頻出する表現を中心に出題しましたので、よく用いる表現は復習して身につけておきましょう。時間内で課題を終わらせるには、それぞれの場面で用いる適切な動詞やその動詞が取りえる構文(自動詞/他動詞用法、that節を取れるか、コロケーションなど)をしっかり習得しておくことが必要になります。

出題例:
次の日本文を英訳してください。登場人物の性別が明示されていない場合には男性と考え英訳してください。

新しく治験分担医師に任命される予定の佐藤医師の履歴書を入手したが、生年月日の記載が漏れていた。

長文英訳(出題数:3、得点率:23.8%)

1つの場面を説明する日本語を英訳する課題を出題しました。ある程度の長さがある文章をきちんと構成し、英文で表現できるかを問う課題でした。
すべての課題に取り組めた方は少数でした。取り組まれた方の多くは全体の構成を把握し、前後関係も意識して英訳できていました。細かい点でミスは見受けられましたが、情報の伝達は十分に行えていました。
短文とは異なり、長文では1文ごとの正確さに加え、前後関係を考えて英訳する必要があります。論理展開がしっかりとできているか考えながら英訳できるようにしましょう。

出題例:
次のような日本語文(300文字程度)を英訳

2018年5月1日に同意を取得。
被験者背景として、高血圧、糖尿病、花粉症の合併症を併発している。
合併症に対する併用薬は、…

英訳問題での特徴的な誤りをいくつか紹介します。
  • [数値の表記] 原文と英文で数値が異なっている箇所がありました。日付や数値、投与量などの間違いは重大ですので、気を付けましょう。
  • [投与する] 英文をThe subject had been administeredとすると、「患者自身が投与される」という意味になってしまいます。administerは「医療者+administer+薬剤+in 患者」という形で用います。
  • [略語] 一般的でない略語は一度フルスペルして定義する必要があります。subinvestigator (SI)などのように略記の前に定義しましょう。
  • [冠詞] 可算名詞に冠詞がついていないケースがありました。CRAやCRCなどの略語であっても冠詞は必要です。状況に応じて、a/anやtheをつけましょう。
  • [日付] 月、日などにつける前置詞に誤りが散見されました(例:at [時間]、on [日付]、in [月]、in [年])。

第3回 Basicコース治験実務英語検定の総括と講評

全体総評

本Basicコースはライティングおよび読解の2技能を対象にした検定試験です。治験実務で用いられる英語の基礎をきちんと理解しているかを問う試験となっています。設問はすべて選択式で出題します。
合格者された方々の傾向を見てみますと、ライティング技能を測る単語補充、並び替え、文章補充、および読解のそれぞれで7割以上を正解されていました。Basicコースの試験に合格するには、英語の基礎をしっかりと習得(理解度)し、治験分野の英語に慣れておく必要があります(スピード化)。
本検定はCRAやCRCの方々が業務で扱う様々な場面での英語の使用を想定し出題しています。一部課題はCRAもしくはCRCいずれかの業務で扱う場面から出題しています(例:CRA向け:モニタリング報告書/CRC向け:EDCのクエリー対応)。
1時間という限られた時間内で様々な課題に取り組む必要があるため、設問を的確かつ迅速に読み解き正解を導く必要があります。文法事項などを調べる時間はあまりありません。基本的な英文法や英語構文などはきちんと習得をしておく必要があります。例えば、今回の単語補充課題では、品詞や態を問う設問がいくつかありましたが、多くの方が不正解でました。単語の意味や役割(品詞)などをしっかりと覚えておく必要があります。業務でよく用いる日本語表現は、対応する英語表現を覚えておきましょう。
語学習得は日々学習を継続することが大切です。治験分野以外でも、ご自身が興味のあるテーマや趣味などで、英文で書かれているウェブサイトや雑誌に挑戦してみてはいかがでしょうか。

単語補充(出題数:12、得点率:72.6%)

選択肢から1語ないしは数語の英単語を括弧に補い、文を完成させる課題を出題しました。
選択肢には、動詞や名詞、形容詞、前置詞などがあります。動詞では、自動詞と他動詞を区別したり、前置詞とのコロケーションや動詞の活用を判断したりする必要があります。括弧の前後関係などから括弧に当てはまる語句の品詞や役割、意味などを読み解き、正解を導く練習をしましょう。

出題例:
空欄に入る適切な語句を選んでください。

本施設は規制当局の査察を過去数回受け入れたことがある。
This facility has (              ) regulatory inspections several times in the past.

  • 1. welcomed
  • 2. underwent
  • 3. accepted

並び替え(出題数:9、得点率:72.1%)

日本語課題文1文程度に対し、英単語の選択肢を並び替えて英訳する課題を出題しました。英文を構成する力が試される課題で、英語の基本5文型をしっかりと理解できていれば正解を導くことができる設問です。
接続詞を用いて複文(主節と従属節)を組みたてる設問がありましたが、他の設問に比べて正解率が低くなっていました。構成が複雑になると前後関係や文全体をきちんと把握していないと正解を導くことが難しくなります。様々な構文に慣れ、文章全体の構成に注意してライティング技能を向上させましょう。

出題例:
空欄に入る英語を正しい順番に並べ、 2番目に来る番号を答えてください。

臨床検査のうち、一部を外部に委託しているので、すべての結果の入手に時間がかかる。
Since (              ), it takes time to get all the results.

①are ②the ③tests ④some ⑤clinical ⑥of ⑦outsourced ⑧laboratory

文章補充(出題数:9、得点率:73.1%)

日本語課題文1文程度に対し、内容を過不足なく説明している英文を選択する課題を出題しました。単語の意味や動詞、接続詞の用法などを問う設問ですので、総合的に英語を理解しておく必要があります。適切な動詞を英文全体から判断する設問がありましたが、他の設問に比べて正解率が低くなっていました。各選択肢中の動詞の意味やコロケーションなどをきちんと理解し、適切な意味の英文を選ぶ必要がありました。限られた時間内で英文を読解できるよう英文読解に慣れておきましょう。
また、英文の組み立ての正しさを問う設問などもありますので、ライティング能力も必須となります。

出題例:
日本文の内容を過不足なく英文で表現するため、空欄に入る適切な英語を選んでください。

当該被験者の服薬コンプライアンスが不良であったため、服薬指導を再度行った。
The medication instructions were recommunicated to the subject because
(              ).

  • 1. the subject had not complied with directions for drug use
  • 2. the subject had not compliance with medications for drug use
  • 3. the subject was not followed directions for drug use

読解(出題数:10、得点率:86.2%)

いくつかの英文センテンスで構成された課題文を読解し、内容を理解しているか選択肢から正解を選ぶ課題を出題しました。
限られた時間内で課題に取り組む必要があり、英文で書かれた内容を短時間で読み解く必要があります。課題文はそれほど難しい内容ではありませんので、治験分野の英文読解に慣れていれば正解を導くことができる設問です。

100ワード前後の英文を読み、以下のような問いに回答します。

本文中では、eCRFへ適切に入力するために事前に何が必要と述べられているか?

  • ①eCRFのアクセス権の申請
  • ②EDCのトレーニング
  • ③治験責任医師の承認
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