検定試験の総括と全体講評

第11回 Advancedコース治験実務英語検定の総括と講評

全体総評

治験実務英語検定Advanced コースはリスニング・読解・英訳の3技能を対象とした検定試験です。Basicコースより難易度は高いものの、適切な取り組み方をすれば十分に合格を目指すことができます。合格者の傾向として、3技能すべてで一定以上の得点を確保しており、バランスよく力を伸ばしている特徴があります。
課題数が多いため、答案作成時には時間配分が非常に重要です。特に最後に出題される長文英訳では、試験時間内に一部の課題しか着手できていない受験者が多く、全課題の中で得点率が低くなる傾向があります。長文英訳まで対応できる英語力を備えている受験者が合格している傾向が強く見受けられます。時間内に多くの課題に取り組むためには、業務で頻出する表現は辞書や参考書を見ずに英文を書けるようにしておく必要があります。
今回の試験では、リスニング課題と読解課題で優秀な成績を収めた方が多く見られました。一方で、英訳課題では得点が伸び悩んだ方が散見されました。英訳課題は設問数が多く、英文作成力(ライティング力)をしっかりと習得できていないと合格するのは難しいでしょう。
今回の英訳課題で見られた主な誤りには以下のようなものがあります。

・頻出表現の用法の誤り
・能動態と受動態のミス
・コロン、セミコロンなどの用法のミス

これらの誤りが続くと、読み手が正確な情報を取りにくくなり、文章全体の読みやすさも損なわれます。
語学習得は日々の積み重ねが重要になります。英文を発想する力を養い、学習したことを業務などで繰り返し使用することで着実に定着します。業務であまり英語を使うことがない方々は、英語でコミュニケーションを取る場を設けるなど、英語に触れる機会を増やすよう工夫してください。

リスニング(出題数:15、得点率:95.9%)

リスニング問題では、検体の処理方法の説明や被験者対応の相談、定例会議での進捗報告などを聞き取り、与えられた設問に解答する問題を出題しました。
状況をきちんと聞き取り、適切に解答できている方が多くいらっしゃいました。

出題例

次のような英文を音声で聞き、設問に答えていただきます。

Good morning, everyone. Thank you for joining today’s regular meeting. I would like to report an issue that occurred at ABC Hospital. During drug preparation, a pharmacist found that the label on the investigational drug vial had the wrong protocol number. The pharmacist immediately stopped using the drug and replaced it with the correct one. …

読解(出題数:2、得点率:88.5%)

読解分野では、「英文和訳」と「選択式読解」の2種類の課題を出題しました。
英文和訳では、原文の情報が抜け落ちている答案や、文法理解が不十分なために係り受けを誤って訳されている答案が見られました。英文に含まれる情報を的確に捉え、意味を損なわず日本語に置き換える力が求められます。文構造を正確に把握し、原文の内容を漏れなく訳出できるようにしておきましょう。
選択式の読解課題では、限られた時間内で英語の長文を正確に読み取り、設問に答える必要があります。正確性とともに一定の読解速度も求められます。日頃から英文に触れる機会を増やし、読解のスピードと理解力を高めておくことが有効です。

出題例

試験デザインに関する記載の英文和訳

短文英訳(出題数:15、得点率:63.3%)

今回の試験では、1~2文程度の日本語を英訳する課題を出題し、限られた時間内で正確な英文を作成できるかを評価しました。
日本語の状況を、読み手に誤解を与えない範囲で英文を書けている受験者も一定数見られました。一方で、以下のような誤りも散見されました。

・日本語文に含まれる情報の抜け落ち
・不適切な動詞選択・構文の誤用

治験業務で頻出する表現は復習し、確実に書けるようにしておきましょう。時間内に課題を仕上げるためには、各場面で用いる適切な動詞やその動詞が取り得る構文(自動詞/他動詞用法、that節を取れるか、コロケーションなど)をしっかり理解しておくことが重要です。これらを習得することで、短時間でより正確で自然な英文を作成できるようになります。

出題例

課題文を英訳してください。

本院で治療を受けている患者は、糖尿病を合併しているケースが多く、空腹時血糖値が除外基準で定められた上限値を超える傾向にある。

長文英訳(出題数:3、得点率:37.9%)

今回の試験では、1つの場面を説明する日本語文を英訳する課題を出題し、一定の長さをもつ文章を、適切に構成しながら英文で表現できるかを評価しました。
多くの受験者は、最後の課題まで取り組むことができていませんでした。最後まで到達した受験者の多くは、文章全体の構成を的確に把握し、前後関係も意識した英訳ができていました。細かい点でミスはあるものの、情報の伝達は十分に行えていました。
短文とは異なり、長文英訳では1文ごとの正確さに加えて、文章全体の流れや論理関係を保つことが重要です。文同士のつながりを意識しながら英訳できるよう、日頃から文章構成力を高めておきましょう。

出題例

次のような課題文を英訳していただきます。

参加者AA-321から採取したPKサンプルの取扱いについてご相談申し上げます。
2024年5月20日(Visit 3)にプロトコルに基づくPK採血を実施しましたが、下記の事象が判明しております。
発生事象の概要…

英訳問題での特徴的な誤りをいくつか紹介します。

  • [following] 「~は以下の通り」を意味する表現として、followingやas followsを用いる場合、通常はコロンを置きます。
  • [冠詞の脱落] 可算名詞に冠詞がついていないケースがありました。CRA、CRC、SAEなどの略語であっても可算名詞であれば冠詞は必要です。
  • [主語の欠落] 英語では、原則として[主語+述語]の構造を持つ必要があります。主語のない文は不完全で、読み手に誤解を与えます。
  • [数値の誤り] 原文と訳文で数値(例:日付、%など)が異なる例がありました。日付や数値、投与量などの間違いは重大ですので、必ず正確に転記しましょう。
  • [inform] informの用法の誤りが散見されました。I was informed by~that (of)で「~からthat (of)以下の内容について聴取した/連絡を受けた」となります。

 

第10回 Basicコース治験実務英語検定の総括と講評

全体総評

本検定(Basicコース)はライティングと読解の2技能を対象とした英語試験です。治験実務で使用される英語の基礎を正しく理解しているかを問う試験となっています。設問はすべて選択式で出題されます。
試験問題は、CRAやCRCが業務で遭遇する様々な場面を想定し出題されます。一部の課題はCRAまたはCRC特有の業務シーンから出題しています。
(例:CRA向け:モニタリング報告書/CRC向け:EDCのクエリ対応)
試験時間は1時間と限られており、その時間内で様々な課題に取り組む必要があります。そのため、設問を正確かつ迅速に読み取り、解答する力が求められます。文法事項や単語を調べる時間は多くなく、以下の準備が必要です。
・基本的な英文法や構文の習得
・業務で頻出する単語の意味や役割の理解
合格者は、単語補充、並べ替え、文章補充、読解の各セクションで概ね7割以上の正答率を達成しています。Basicコースの試験に合格するためには、英語の基礎をしっかり身につけること、そして治験分野特有の英語に慣れておくことが不可欠です。

単語補充(出題数:16、得点率:86.3%)

選択肢から適切な英単語を括弧に補い、文を完成させる課題です。
選択肢には、動詞・名詞・形容詞・前置詞などが含まれます。動詞では、能動態と受動態の区別や動詞の活用を判断する必要があります。また、治験英語で頻出する基本的なイディオムを問うような課題も出題しました。和文と英文の意味関係を正しく理解し、最も適切な語を選ぶ力が求められます。

出題例

空欄に入る適切な語句を選んでください。
有害事象は治験薬の投与前に発現した。
The adverse event occurred ( ) the administration of the investigational drug.

  1. in front of
  2. faster than
  3. prior to

並べ替え(出題数:6、得点率:78.7%)

日本語の課題文に対応する英文を、与えられた選択肢を並べ替えて完成させる問題です。英語の基本5文型を理解していれば正解に近づけます。分詞構文や不定詞、動名詞を含む問題もあり、文全体の構造把握力が重要です。様々な構文に慣れ、文章全体の構成を意識してライティング技能を高めましょう。

出題例

英文を完成させるために選択肢を並べ、4番目にくる番号を選んでください。
参加者は、治験薬の服用を中止するよう指示された。
The participant ( ) the investigational drug.

  1. to
  2. taking
  3. was
  4. discontinue
  5. instructed

文章補充(出題数:8、得点率:85.3%)

日本語課題文に対応する英文を選択する課題です。
単語の意味、動詞や接続詞の用法、コロケーションなど総合的な理解が求められます。適切な動詞や文構造を判断し、意味の過不足がない英文を選ぶ必要があり、ライティング能力も必須となります。

出題例

次の和文に対応する英文として、適切な選択肢を選んでください。
SAEとして報告された発疹について、参加者が補償を求めた。

  1. The participant was ordered compensation for the rash reported as an SAE.
  2. The participant requested compensation for the rash reported as an SAE.
  3. The participant received compensation for the SAE of rash.

読解(出題数:5、得点率:94.6%)

複数の英文センテンスで構成された課題文を読み、内容理解を確認する問題です。
時間制限があるため、短時間で英文を正確に読み解く力が必要です。課題文はそれほど難解ではありませんが、治験分野の英文に慣れていることが正解への近道です。

出題文書例:
治験プロトコル、EDCマニュアルなどの読解

 

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治験実務英語検定について

治験実務英語検定は、医薬品開発に必要な英語スキルを測定する試験です。日本CRO協会が主催し、Basic、Advanced、Professionalの3コースを提供しています。

受験手順

治験実務英語検定の受験手順は、PC動作確認、インターネット申込、試験実施、結果発表、合格証入手の順で行います。

実施要項・申し込み

第10回 Basicコース試験 実施要綱 2025年10月6日(月)申込開始、2025年12月7日(日) 試験 第11回 Advancedコース試験 実施要綱 2025年11月17日(月)申込開始、2026年2月1日(日 […]

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